これからFXを始めようと思っている方で、「資金はいくらから始めたら良いのか分からない…」と悩んでいる方も多いかもしれません。

FXはレバレッジが魅力の投資商品ですが、使い方を間違えると思わぬ損失に繋がる場合もあります。

通貨ペアや証券会社によって始められる金額は異なります。大事な資金を守るためにも投資の経験がある方でも未経験の方でも、FXを始める際はまずは少額から始めるのが良いでしょう。

今回は、FXを始める前に知っておきたいFX用語からFX初心者によくある失敗例や失敗しないための方法などもまとめました。

いくらから始めるべきかを知る前に「理解しておきたいFX用語」について

いくらから始めるべきかを知る前に「理解しておきたいFX用語」について
これからFXを始める前にまずFX用語について正しく理解していないと取り引きをスムーズに進めることができません。

始めるために必要な証拠金や、取り引きを始めるのに最低限必要な資金の単位などを知っていないと、いくらから始めていいのか分からないでしょう。

FXを始められる金額を知る前にまずは理解しておきたいFX用語について説明します。

証拠金とは?

FXでは取り引きをする口座に担保として預ける金額のことを証拠金といいます。

株式投資などでは100万円分の株式を購入する場合100万円分実際に売買する必要がありますが、FXでは異なります。

FXは証拠金取引と呼ばれ、100万円分の通貨ペアを売買したい場合、100万円分取り引きできるだけの証拠金を口座に入れておけば実際に100万円分の売買をしなくても取り引きをすることが可能です。

そして、決済した際に生じた損益のみ口座から差額が増減する仕組みで、このような取り引きが「差金決済」といわれるものです。

最小取引単位とは?

FXでは取引量に応じて必要な証拠金の額が異なります。一度の取り引きで最低限取り引きしなければいけない数量を最小取引単位といいます。

FXで取り引きする際の単位の表し方は「1万通貨」や「1Lot(ロット)」などです。

日本のFX会社では、基本的に1万通貨を最小取引単位としていますが、FX会社によっては1,000通貨から取り引きできる会社もあります。

最小取引単位に対して必要な証拠金の額はFX会社や通貨ペアによって異なります。

取引数量(Lot)とは?

1Lot(ロット)が何通貨なのかはFX会社によって異なりますので、注意が必要です。

国内のFX会社では「1Lot=1万通貨」に設定している会社が多くありますが、「1000通貨=1Lot」に設定している会社もあります。

海外のFX会社などでは「1Lot=10万通貨」に設定しているFX会社も多いので、Lot数は統一ではない点に注意してください。

1,000通貨や1万通貨でなくLotが使われる理由として、取引時の手間の省略や桁数の多さによる打ち間違いを防ぐなどの理由が挙げられます。

レバレッジとは?

株式投資などでは100万円分の取り引きをする際に100万円の資金を用意しなければいけませんが、FXではレバレッジがあるため預けた資金の何倍もの金額の取り引きが可能です。

少ない金額で大きな取り引きができることをテコの原理に用いてレバレッジ効果と呼んでいます。

日本のFX会社では最大レバレッジを25倍としており、例えば40,000円の証拠金でも約100万円分の為替取引をすることができます。

レバレッジを活用すると、ドル円を10,000通貨で取り引きしていた場合、為替価格が1円変動しただけでも10,000円の損益が発生します。この際に必要な証拠金は40,000円程度ですので、資金効率良く取り引きをすることができるでしょう。

しかし、レバレッジを効かせるほどリスクも高くなる点には注意が必要です。

通貨ペアとは?

通貨ペアは異なる2カ国の通貨の組み合わせのことです。

FXでは特定の通貨だけでなく2つの国の通貨を売買して損益が発生しますので、「米ドル/円(USD/JPY)を買う」「米ドル/円(USD/JPY)を売る」といった表現を使います。

通貨ペアは米ドル/円の場合はUSD/JPY、ユーロ/英ポンドはEUR/GBPなどと表記され、通貨ペアの種類は100種類以上あります。

FXでは通貨ペアによってそれぞれ特徴が異なりますので、通貨ペアに適した取引方法をすることが必要です。

ロスカットとは?

ロスカットはFXの損失の拡大を防ぐための制度のことを言います。

各FX会社でロスカット水準を設けており、例えばロスカット水準が20%で100万円の証拠金で取り引きしていた場合、含み損が80万円以上になった場合、証拠金維持率が20%を下回るので強制的に注文が決済される仕組みになっています。

ロスカットがないと証拠金を全額失うばかりか、追加証拠金(追証)を支払わなければいけない場合もあるので注意が必要です。

FXはいくらから始められるのか

FXはいくらから始められるのか
では、実際に資金はどのくらいあればFXを始められるのでしょう?

国内のFX会社では原則10,000通貨から始めることができますが、FX会社によっては1,000通貨から始められたり、独自のポイントシステムなどを利用して実質0円からFXを始めたりすることもできます。

必要最低証拠金はFX会社や通貨ペアによっても異なりますが、10,000通貨であれば数万〜100,000円程度、1,000通貨であれば数千円から数万円で始められます。

FX会社によって最小取引単位は異なる

最小取引単位はFX会社によって異なります。1通貨から始められるFX会社もあれば、1万通貨が最小取引単位のFX会社もあります。

一部のFX会社では1,000通貨で取り引きする場合別途手数料がかかる場合もある点に注意してください。

なるべく少ない資金で始めたいという方は各FX会社を見比べて取り扱う通貨ペアの数やスプレッドなどを考慮してFX会社を選ぶといいでしょう。

通貨ペアによって証拠金額は異なる

FXは1,000通貨であれば数千円程度から取り引きを始めることができますが、通貨ペアによっても必要な証拠金額は異なります。

特徴として、メジャー通貨は数千円程度から始められるものが多く、マイナー通貨に関してはさらに低く同じLotでも数百円程度から始めることができます。

しかし、マイナー通貨はボラティリティが低かったりスプレッド幅が広かったりといった、初心者には少し取り扱いが難しい通貨ペアである点に注意してください。

初心者はいくらから始めるべきか

初心者はいくらから始めるべきか
では、実際にFX初心者はいくらから始めるべきなのでしょう?

一口にFXを始める金額と言ってもそれぞれの資産状況や投資状況によってFXに使える投資金額は異なってきます。

まずは現在の資産状況の把握、月や年でどれぐらいの金額をFX投資に回せるかで始めるべき金額は決まっていくでしょう。

しかし、仮に100万円FXに回せる資金があったとしてもいきなり100万円分の取り引きをすることは危険です。

FXをこれから始める初心者はご自身の余剰資金の中からさらに少額で取り引きを始めるのがおすすめです。

まずは少額から

資産状況を把握できてFXに使える金額が分かったら、いきなり資金目一杯の取り引きをするのではなく、まずは少額から始めるのがベターです。

例えば、FXではレバレッジが25倍の場合、40,000円の証拠金でも約100万ドル分の取り引きを行うことができますが、証拠金ギリギリのトレードをしていたらレートが少し逆行しただけですぐにロスカットになってしまいます。

ですので使える証拠金の額から取引数量を決めたり、資産に対して取引数量を決めたりするのではなく、まずは資産の一部でトレードを始めましょう。

FXに使える金額全てをいきなり証券口座に入金するのではなく、まずは資金の10%だけ入金してFXを始めてみるなど少額から始めるのがおすすめです。

余剰資金で始める

FXに限らず投資というものは必ず予測不能なリスクが生じます。

過去の事例でいうと、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災のときなどは為替価格は大きく変動し多くのトレーダーが資産を失いました。

こういった予測が難しい出来事は何年かに一度は必ず発生しますし、全てを予測することは難しいです。そういった不測の事態が起きたときにポジションを保有していた場合、口座に入金している額を全て失ってしまう場合もあります。

そうならないためにも、まずFXに使う投資金額は余剰資金であり、不測の事態が起こって資金全てを失っても生活に支障をきたさない範囲でFXを始めましょう。

初心者によくある失敗例

初心者によくある失敗例
FXにおいて初心者がいきなり勝ち続けることは容易ではありません。

平日であれば少額から始められる点やハイレバレッジが魅力の投資商品ですが、使い方を間違えるとデメリットにもなりえます。

FXは危険である、ハイリスクであるというイメージはレバレッジなどを上手く活用せずに、危険なトレードを繰り返しているトレーダーが多いため、そういったイメージを持たれているのかも知れません。

初心者が陥りやすい失敗例をまとめました。

失敗例①早く稼ぎたくてレートを上げる

FX初心者が陥りやすい失敗の1つとして、早く稼ぎたくてすぐにレートを上げてしまうということがよく見られます。

始める際は少額から始めるべきだとお伝えしましたが、FXの取り引きに慣れ、ある程度利益が出たらすぐにレートを上げて負けてしまうトレーダーもいます。

例えば1,000通貨でトレードをしていた場合100pipsの変動で1,000円の損益だったのに対し、10,000通貨にレートを上げると同じ100pipsの変動でも10,000円の損益になるということです。

同じトレードをしていても損益金額が変わると精神面に大きな変化があり、今までできていたトレードができなくなる場合もあります。

早く稼ぎたいあまりに、レートを上げたら勝てなくなってしまったというケースはよく見られます。

失敗例②負けを取り戻そうとレートを上げる

FXを始めて勝ち続けられれば嬉しいですが、最初のうちは負けが続くことも多いでしょう。

負けが続いたFX初心者は早く損失分を取り戻そうとレートを上げがちです。すると、さらに損失が膨らむスピードは早まり、資産を全て失ってしまいFXをやめてしまったり余剰資金以外のお金を入金してしまったりする場合もあります。

FXで大事なことはすぐに利益を出すことではなくFX市場から退場しないために資産を守ることです。

最初のうちは負けが続くこともあるかと思いますが、すぐに損失を取り戻そうとするのではなく根気強く続けることが大事です。

失敗例③金額が小さいから適当な取引をする

少額で始められるのがFXの魅力の1つですが、少額だからといって適当なトレードを繰り返しているとトレードのレベルは向上しません。少ない額でのトレードで利益を出せない場合は金額を上げても勝つことは難しいでしょう。

一度の利益や損失が数十円数百円だからといって適当なポジションでトレードをしていたら、ただ損失が膨らむだけで勝ち続けることは難しいです。

少額でのトレードでもしっかりとトレードルールを設け、トレード結果を分析することが上達への早道です。

失敗例④ポジションを持ちすぎる

FXでは同時に複数の通貨ペアやポジションを保有することができます。正しい方法で行えば損失を限定させたり利益を拡大させられたりする手法として、「ナンピン」や「ピラミッティング」と呼ばれるものがありますが、初心者には難しい手法になります。

初心者のうちは複数のポジションを管理することは難しいです。こういった手法はリスクが高いため、初心者のうちから取り入れると損失を増やしてしまう場合もあります。

初心者のうちはあまり同時に複数のポジションを保有することは避けた方が良いでしょう。

初心者が失敗しないための方法

初心者が失敗しないための方法
では、FX初心者が資金を失ってしまいFX市場から退場させられないためにはどうしたらいいのでしょう?

FXでいきなり勝ち続けることは難しいかも知れませんが、退場させられないようにすることはそこまで難しいことではありません。

初心者が失敗しないためには、取り引きを始める前にしっかりとマイルールを設け守り続けることです。

失敗しないために初心者でもできることを5つまとめました。

金額が少なくても損失を限定させる

初心者のうちは少額から始めるべきですが、少額でもしっかりと損失を限定させることが大事です。

FXでは、一度の取り引きでの損失割合は高くても2%に抑えるべきだと言われています。

例えば、FXの投資金額が100,000円で一度のトレードの損失割合を2%に設定した場合、損失は2,000円になります。損失が2,000円だった場合、仮に5連敗した場合でも10,000円の損失で資産は90,000円残ります。

ある程度FXに慣れている方であれば損失割合は上限で2%、全くの初心者の方であれば金額が少なくても損失割合は1%程度に抑えておくと良いでしょう。

月や年でFXに投資する金額をあらかじめ決めておく

FXは余剰資金で始めるべきだと説明しましたが、月や年でFXに投資する金額も予め決めておくことが大事です。

最初は余剰資金で少額から始めても勝ちが続くと自信を持ってレートを上げたり、負けが続くと損失を取り戻そうとレートを上げてしまったりという失敗例も説明しました。

このような状態になると追加入金を繰り返したりして資金管理が難しくなってしまいます。ですので、初心者のうちは損益に関わらず月単位や年単位で予めFXに使う投資金額を決めておき、それ以上は入金しないことによって資金を守りやすくなります。

ある程度の期間は取引数量を上げない

FXで負けないためには手法ももちろん大事ですが、取引数量の調整も大切になってきます。

勝ちや負けが続いたからといってすぐに取引数量を上げていては収支は安定しません。頻繁に取引数量を変えてしまうと何が原因で勝てているのか、負けているのか分かりにくくなってしまいます。

一流のトレーダーでも年間収支はプラスでも月によってはマイナス収支の月もあります。ですので、初心者の場合は短期間の収支に一喜一憂するのではなく、半年〜1年程度は取引数量を変えずに取り引きすることによって収支は安定しやすくなるでしょう。

初心者のうちは利益分は出金しておく

FXを始めて利益が積み重なってくると自信もついて、利益分を利用してさらに大きな取り引きで利益を目指したくなる方も多いかもしれません。

しかし、利益をそのまま証券口座に残していると、利益が出ているからと無茶なトレードをしたりレートを上げたりしたくなってしまうこともあります。勝っているときこそ冷静になり、利益分を出金しておくことで資産は守られるのです。

利益をこまめに出金して証券口座に入金した額以上の利益があれば仮に取り引きで損失が発生しても今までの利益分は残っているので、取り引きにも心の余裕を持たせることができます。

複数の通貨ペアで同時に取引しない

中級者以上のFXトレーダーにもなると、同時に複数の通貨ペアを取り引きする場合もあります。しかし、初心者のうちから複数の通貨ペアで取り引きすることは難易度が高いため注意が必要です。

理由としては、それぞれの通貨ペアには特徴があり、ある通貨ペアの価格が上下するとそれに連動して価格が変動しやすい通貨ペアなども存在するからです。

ある程度FXに慣れているトレーダーであればこういった各通貨ペアの相互性や特徴を理解して取り引きを行えますが、初心者のうちはハードルが高いかもしれません。

また、同時に複数の通貨ペアを取り引きしていると、管理が難しく利確や損切りが遅れてしまう場合もあります。

複数の通貨ペアで取り引きをするのはある程度FXの取り引きに慣れてからの方が良いでしょう。

まとめ

①FXを始められる金額はFX会社や通貨ペアによって異なる
②1,000通貨であれば数千円程度から取引可能
③いきなり大きな金額で取り引きしない
④自分の資金量にあった範囲で取り引きする
⑤利益分はこまめに出金しておく