初心者がFXを始めるのに、おすすめのトレードスタイルはあるのでしょうか?
FXはトレードスタイルや取り引きする通貨ペアによって難易度が異なります。
サインツールを利用したりセミナーや塾に参加したりするのであれば、どのようなトレードスタイルでも問題ありませんが、独学で始めるのであればそれぞれのトレードスタイルのメリットとデメリットを理解する必要があります。
自分にあったトレードスタイルを選ぶことが大切ですので、選ぶ際のポイントを解説しました。
4つのトレードスタイル
FXにはポジションの保有時間によってトレードスタイルが異なります。
FXでは以下の4つのトレードスタイルがあります。
- スキャルピング
- デイトレード
- スイングトレード
- ポジショントレード
これらは明確に細分化されているわけではなく、注文から決済までかかる時間によって大まかに分けられています。
それぞれのトレードスタイルにメリットとデメリットがありますので、紹介していきましょう。
スキャルピング
スキャルピングとは、注文から決済までを数秒から数分の間に完了させるトレードスタイルで超短期型のトレードスタイルになります。
スキャルピングでは一度の損益幅は数pips程度ですので、利益をコツコツと積み重ねていくトレードスタイルです。
プロのFX専業トレーダーなどは、一日の間に数十回から数百回トレードを繰り返し行います。1分1秒で収支が変わってくるトレードスタイルですので、高い集中力とある程度の知識と経験が必要です。
スキャルピングを行う場合は、トレード回数が多くなることにより取引コスト(スプレッド)が他のトレードスタイルよりかかってくるので、スプレッドが狭いFX会社や通貨ペアを選ぶことも重要になってきます。
スキャルピングのメリットは、ポジションを保有している時間が短いためリスクを抑えられるということが挙げられます。
数秒から数分の間にトレードを完了させるので、不測の事態やチャートを確認できない時間の価格変動などのリスクを回避しやすいです。
また、レバレッジを上手く活用すれば少ない資金でも効率よくトレードを行うことができ、他のトレードスタイルに比べ最も資金効率が良くトレード回数も多いため、スキルの向上が早いというメリットもあります。
仕事が忙しい会社員の方や取り引きにあまり時間を割けない方にとっては、数秒から数分の間で取り引きが完了するので人気のあるトレードスタイルです。
スキャルピングのデメリットは、初心者には難易度が高いという点です。
スキャルピングでは、数秒から数分の間にチャートを見て注文と決済の判断をしなければいけないので、FXに慣れていない初心者の方にとっては難しいでしょう。
また、取引自体は数秒から数分の間に完了しますが、常にチャートを確認しながら注文のタイミングを待つ必要があるため、ある程度のチャートを確認する時間も必要になってきます。
コツコツと利益を積み重ねていくトレードスタイルですので、一度に大きく稼ぎたいという方にはあまり向いていないトレードスタイルです。
スキャルピングは、FX会社によっては禁止されている場合もあるため注意が必要です。
デイトレード
デイトレードとは、数十分間から1日の間に取り引きを完了させるトレードスタイルです。
宵越しのリスクなどがないため、ある程度のリスクを抑えながら、スキャルピングに比べ一度の損益幅は10~100pips程度と大きくすることができます。
プロのデイトレーダーになると、日本の市場が動き出す朝9時頃からトレードを始め、ニューヨーク市場が活発になる夜の10時頃までトレードを繰り返す方もいます。
1日に数回程度のトレードになりますが、基本的にチャートの確認は必要なため、専業トレーダーでないとある程度の利益は見込めないでしょう。
デイトレードのメリットは、トレンドなどが発生した場合、スキャルピングに比べある程度の利益を伸ばしやすい点です。
また、基本的には1日の中で取り引きを完了させるため、宵越しのリスクもありません。
OCO注文やIFD注文などの注文方法を上手く活用することによって、損失や利益のタイミングを予め注文することも可能です。
チャートを監視する時間がないトレーダーでも、デイトレードを行うことができます。
デイトレードのデメリットは、トレードチャンスがあまり多くないという点です。
OCO注文やIFD注文で、予約注文ではチャートを監視する必要がないと説明しましたが、やはり初心者のうちはこういった注文方法を使いこなすことも難しいので、慣れるまではある程度のチャート確認も必要であると言えます。
また、宵越しのリスクがないということは、トレードを終了させるタイミングである程度の損切りも必要になってくるので、エントリーのタイミングも重要になってきます。
スイングトレード
スイングトレードとは、数日から数週間かけてポジションを保有するトレードスタイルで、中長期的なトレードスタイルです。
数日や数週間のうちにエントリーできるポイントでトレードをするため、取引回数も少なくなります。その分、一度の利益幅は大きく見込むことができ、数100pipsから数1000pips程度狙うことができます。
スイングトレードは短時間でトレード判断をしなくても良いことから、短期間のトレードスタイルに比べ難易度が低く、初心者でも取り組みやすいトレードスタイルです。
長期間ポジションを保有することにより損益幅のリスクは大きくなりますが、保有しているポジションの確認であればスマートフォンなどでも簡単にできるので、常にパソコンなどでチャートを確認する必要もありません。
スイングトレードのメリットは、一度のトレードで数100pipsから数1000pipsの大きな利益を狙っていくことができるという点です。
また、エントリーするタイミングを決めるためにはある程度のチャートの確認は必要ですが、エントリー後は頻繁にチャートを確認する必要もないため、忙しい方でも取り組みやすいトレードスタイルです。
スイングトレードは中長期的にエントリーや決済のポイントを決めておけば良いので、トレードに割く時間が少ないという点もメリットとして挙げられます。
スイングトレードのデメリットは、資金効率があまり良くないため、ある程度余裕を持った資金が必要になってくるということです。
中長期的にポジションを保有すると、それだけ為替リスクも高くなってきますので、ある程度の含み損に耐えられるような資金やポジション管理が必要です。
また、中長期的にポジションを保有すると政治や経済的要因で為替価格が大きく変動する可能性もありますので、ファンダメンタルズ分析も行わなければなりません。
一度の利益幅を大きく見込むため勝率も低くなってくるので、勝率と損益のバランスも大事になってきます。
ポジショントレード
ポジショントレードとは、数週から数ヶ月以上にかけてポジションを保有するトレードスタイルで、最も取引期間が長いトレードスタイルになります。
長期間のトレードスタイルになるため取引回数も数ヶ月に1度程度で、利益幅も数100pips程度です。
ポジショントレードでは長期間ポジションを保有するため、取り引きする通貨ペアのスワップポイントが重要です。スワップポイント目的でトレードするトレーダーは、ポジショントレードをしていると言えるでしょう。
スワップポイントを上手く活用することにより、為替価格の差益とスワップポイントで大きな利益を見込むことができます。
ポジショントレードのメリットは、上手く行けば為替価格の差益とスワップポイントの両方で大きな利益を得ることができるという点です。
スワップポイントはポジションを保有しているだけで毎日受け取ることができるので、上手く活用できれば、長期間ポジションを保有することにより利益を積み重ねることができます。
数ヶ月間ポジションを保有するので細かいチャート確認も必要ないため、ある程度の損切りラインを決めておけば、損失を限定しながらも利益を伸ばすことが可能です。
ポジショントレードのデメリットは、テクニカル分析よりもファンダメンタルズ分析が重要になってくるため、様々な情報に対して常にアンテナを立てている必要があるという点です。
FXは短期的な上下を繰り返し、長期的にはある程度のトレンドで為替価格が変動するので、ポジショントレードでは世界経済や為替価格がどのように変化していくのかを考える必要があります。
スイングトレードと同様、ある程度の資金力が必要で資金効率があまり良くない点や、スワップポイントは保有しているだけで損失になる通貨ペアもあるので注意が必要です。
FXの基本的な取引手法
FXにはトレンド相場とレンジ相場というものがあり、これらの相場を繰り返しながら為替価格は変動していきます。
トレンド相場ではある一定の方向に為替価格が変動しやすく、レンジ相場ではある程度の高値と安値の間で為替価格が変動しやすいという点が特徴です。
FXでは、この2つの相場の中で「順張り」と「逆張り」といった取引手法でトレードを行いますので、それぞれの手法について説明します。
順張りとは、相場が上昇トレンドなら「買い」、下落トレンドなら「売り」と相場の流れに沿ってトレードする取引手法です。
為替価格がある一定の方向に動いている時にトレードをするので、初心者でも分かりやすく利益を伸ばしやすいという特徴があります。
反対に、トレンドに乗り遅れてしまうと利益を得にくく、相場が逆行してしまった時には損失が膨らみやすいというデメリットもあります。
順張りで大事なポイントは、いかにトレンドの初動を見極め、早い段階でトレードできるかです。
為替価格は、時間をかけて細かい上下を繰り返しながら大きなトレンドに沿って動きやすいので、順張りの場合は自分のトレードスタイルによって損切りや利益確定のポイントを考える必要があります。
逆張りとは、相場のトレンドに逆らった取引手法で、上昇トレンドなら「売り」、下降トレンドなら「買い」でエントリーする取引手法です。
トレンドに逆らった取引手法のため順張りに比べ難易度は高くなりますが、トレンドの反転ポイントを狙った取引手法のため上手く行けば一度で大きな利益を狙うこともできます。
大きな利益を得られる理由として、FXではトレンドが終わった時や反転する時は一気に為替価格が変動しやすいからです。また、逆張りはレンジ相場でも有効的に使うことができます。
レンジ相場では、ある一定の高値と安値の間で価格が変動しやすいので、高値のライン(レジスタンスライン)と安値のライン(サポートライン)を狙って逆張りをしていくことで利益を積み重ねることもできます。
分析方法
FXのそれぞれのトレードスタイルや基本的な取引手法を理解したら、次に必要なのはFXの相場を予想する分析方法です。
FXの相場を予想する分析方法は、「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」という2つの分析方法に沿って行います。
トレードスタイルによっては、両方必要な場合もあれば片方だけの分析を中心にトレードする場合もあるので、それぞれの分析方法を説明します。
テクニカル分析とは、過去のチャートの動きに基づき相場を予想する分析方法です。
FXや株式などの投資では過去のチャートと似たような動きをするケースが多いので、テクニカル指標とよばれるものでチャートを分析して予想を行います。
テクニカル指標には、主にトレンド系とオシレーター系のものがあり、初心者でも使いやすいテクニカル指標としては、移動平均線やMACDなどが挙げられます。
テクニカル分析を行う際は、チャート上に表示されるローソク足や時間足によっても得られる情報が違いますので、複数の時間足での分析が必要です。
スキャルピングだから1分足や5分足だけを分析するのではなく、相場全体の大きなトレンドを把握するために1時間足や4時間足の分析も重要となってきます。
ファンダメンタルズ分析とは、経済状況や政治、地政学的要因などから相場を予想する方法です。
FXは世界各国の通貨でトレードを行いますので、取り引きする通貨ペアや通貨と関係がある国の情報を入手しながらトレードをする必要があります。
ファンダメンタルズ分析の特徴としては、主に相場の中長期的な予想の際に用いられることが多く、スイングトレードやポジショントレードなどではファンダメンタルズ分析が重要になってきます。
スキャルピングやデイトレードでは全く関係がないかと言うとそうではありません。各国の重要な経済指標発表時や要人発言などがある際は、短期的に相場が急変動することもありますので、どんなトレードスタイルでも重要な発表などがある時間やタイミングを把握しておくことが大切です。
初心者がトレードスタイルを選ぶポイント
初心者の方がトレードスタイルを選ぶ際には、どのようなポイントに気をつけながらトレードスタイルを選べば良いのでしょう?
トレードスタイルには万人に絶対のおすすめはなく、ご自身のライフスタイルや性格によって適しているトレードスタイルは異なってきます。
こちらでは、自分にあったトレードスタイルを選ぶポイントをまとめました。
まずは自分が取り引きをできる時間帯を知って、トレードスタイルを選ぶ必要があります。
デイトレードなどは、基本的に1日の中でチャートを見ている時間が多いトレードスタイルですので、日中忙しい方などはデイトレードにはあまり向いていないと言えるでしょう。
取り引きできる時間があまりないという方は、空いた時間でもできるスキャルピングや、チャートをあまり確認する必要のないスイングトレードやポジショントレードなどが向いていると言えます。
トレードスタイルによってポジションの保有時間や損益幅が異なってくるので、自分の性格によってトレードスタイルを選ぶことも重要です。
コツコツと利益を積み重ねていきたいのであれば、スキャルピングなどのトレードスタイルが向いていますし、反対に取引回数は少なくても一度に大きな利益を狙いたいという方は、スイングトレードやポジショントレードなどが向いていると言えます。
自分が取り引きする通貨ペアによっても取り引きする時間帯やボラティリティが異なるので、それぞれの通貨ペアの特徴を知っておきましょう。
例えば、米ドル/円(USD/JPY)は基本的にボラティリティがあまり高くないので、スキャルピングで利益を出すためにはある程度の資金が必要になってきます。
英ポンド/円(GBP/JPY)などの通貨ペアであればボラティリティは高いので、スキャルピングでも短時間で価格が大きく変動しやすく、レバレッジを効かせなくてもある程度の利益額を見込むことができます。