FXの取引方法には様々な注文方法があります。

忙しくてチャートを常に見ていることができない方でも、予め損切りや利益確定のポイントを指定できる取引方法もあるため、FXの取引方法を知ることはとても重要です。

予め損切りするラインを決めておけば損失を限定させることができ、資金管理にも役立ちます。しかし、忙しいからと言って全ての取り引きで予め注文や決済のポイントを指定してしまっていると、思うように利益が伸ばせないなどのデメリットもあります。

今回は、FX取引方法や初心者が気をつけたいポイントについてまとめました。

FXの注文方法とは?

FXの注文方法とは?
FXは特定の通貨ペアの価格が「上がるか」「下がるか」を予想する投資であり、その注文方法は様々です。

FXではただ価格の上下を予想するのではなく、注文時の価格と決済時の価格差が損益になるため、利益は伸ばし損失は限定させることが大事になります。

そのため、取引手法や通貨ペアの特徴などを知ることももちろん大事ですが、最適な注文方法でトレードすることも重要になってきます。

基本的な注文方法

FXの基本的な注文方法は以下の3つがあります。

  • 成行注文
  • 指値注文
  • 逆指値注文

これら3つの基本的な注文方法はよく使われる注文方法であるため、FXを始める上で必ず理解しておく必要があります。

成行注文


成行注文とは、注文する価格を指定せず現在の価格で注文する方法です。

シンプルで分かりやすい注文方法ですが、成行注文では注文を出してから注文が通るまで取引サーバーを通すので、注文した値段と約定される値段に差が生じます。これを「スリッページ」といいます。

普段の市場であればそこまで大きなスリッページが発生することはありませんが、経済指標発表時などはスリッページが大きく生じることもありますので、注文する際には注意が必要です。

指値注文


指値注文とは、価格を指定して注文できる注文方法です。

例えば米ドル円の現在の価格が100.10円だった場合に、現在の価格より安い100円や99円になったら買い注文を入れたい場合など「現在の価格より安くなったら買いたい」という場面や、売り注文なら「現在の価格より高くなったら売りたい」という状況で指値注文を使います。

また、決済で使う方法としては、100.10円で買いポジションを保有している場合に、100.20円になったら利益を確定させたい時や、100.10円で売り注文を保有している時に99円になったら利益を確定させたいなどといった状況で使うこともできます。

逆指値注文


逆指値注文とは、指値注文と逆の注文方法で、「現在の価格より高くなったら買う」「現在の価格より安くなったら売る」という状況で使う注文方法です。

為替価格が上昇トレンドである価格帯を超えたらまだ上昇するだろうという場面などで用いることができます。

決済で使う方法としては、100.20円で買いポジションを保有していて100円まで下がったら損切りするなど損失を限定させたい時などに、損切りラインとして逆指値注文を使用することができます。

その他の注文方法

基本的な注文方法だけでもトレードすることはできますが、FXには他にも注文の条件を細かく指定できる注文方法もあります。

注文方法は少し複雑になりますが、これから説明する注文方法で取り引きできるようになると、チャートを確認する時間が少なくなり、機械的にトレードができるようになるというメリットがあります。

OCO注文


OCO注文とは、「One Cancels the Other」の略で、2つの注文を同時に出すことができ、一方の注文が約定するともう一方の注文が自動的にキャンセルになる注文方法です。

例えば、為替価格が100.10円で現在買いでポジションを保有していた場合に100.30円になったら利益を確定させたい、100.00円になったら損切りしたいなど、利益を確定させたいポイントと損失を限定させたいポイントを予め指定できます。

収支の管理がしやすく、チャートを常に確認する必要がなくなる注文方法です。

IFD注文


IFD注文とは、「If done」の略で、「もし〇〇円で買えたら、〇〇円で利益確定するか、または〇〇円で損切りしたい」というように新規注文と決済注文を同時にできる注文方法です。

IFD注文は注文から決済までを自動で行ってくれる注文方法ですので、自分が取り引きをできない状況でも予め指定しておけば希望の価格で注文を出してくれて、決済までしてくれます。

しかし、決済は損切りと利確両方に設定できるわけではないので、損切りラインとして決済注文を入れておくなどの注文方法がおすすめです。

IFO注文


新規注文と決済の損切りと利確を同時に指定したいという時に利用できるのがIFO注文です。

IFOとは、IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法で、IFD注文が有効になったあとに、OCO注文が適用されます。

具体的には、「もし100.10円になったら新規で買いポジションを注文し、100.30円になったら利益を確定させる、100.00円になったら損切りする」というように、全ての注文を全て自動で行ってくれるため、IFO注文をしたあとはチャートを確認する必要が全くなくなるという便利な注文方法です。

トレール注文


トレール注文とは、為替価格の上昇幅や下落幅に応じて、逆指値注文のレート水準を自動修正する注文方法です。

例えば、現在の為替価格が100円で買いポジションを保有していたとして、損切りラインを99.5円に設定していたとします。この時の差額が0.5円(50pips)で、この金額の幅を「トレール幅」といいます。

トレール幅を0.5円で設定すれば、たとえ価格が101.50円になった場合でも、そこから0.5円一気に下落しても損切りラインを101円にすることができるので、損失を限定させながらも利益を拡大させていくことができる注文方法です。

ストリーミング注文


成行注文と似たようなものにストリーミング注文という注文方法があります。この2つの注文方法はスリッページの許容幅(許容スリップ)を事前に設定できるか設定できないかの違いがあります。

成行注文では、約定を最優先させるため、自身が注文したい価格と約定価格に差があっても注文が通ります。

ストリーミング注文では、許容スリップを設定できるため、為替価格が大きく変動しやすい経済指標発表時などでも自分の希望の価格の範囲内で注文することが可能です。

自動売買

FXには自分で全て注文方法を決定する取引方法と、全ての注文と決済を自動で行ってくれる自動売買(EA)という取引方法があります。

自動売買は、自動売買の取引ツールを起動しておけば24時間自動で取り引きを行ってくれますが、自宅のPCなどでは停電などのリスクやPCを24時間起動させておくのは現実的ではないため、VPSと呼ばれる仮想専用サーバーで自動でトレードが行うのが一般的です。

自動売買のツールは、FX会社が提供するツールから個人が無料や有料で提供しているツールまで幅広いものがあります。

FXの価格の動き方

FXの価格の動き方
FXでは、主に「トレンド相場」と「レンジ相場」と呼ばれる相場状況があります。

基本的に小さな上下を繰り返しながらある一定の方向へと相場が動くタイミングと、中長期的に相場が一定の値幅で上下を繰り返すような状況があります。

今の相場がトレンド相場なのか、レンジ相場なのかを見極めてトレードをしていくことが重要です。

トレンド相場

トレンド相場とは、相場が一定の割合で上昇、下降している相場をいいます。

トレンド相場には上昇トレンドと下降トレンドがあり、高値と安値を段々と切り上げている相場が上昇トレンド、高値と安値を徐々に切り下げている相場が下降トレンドです。

トレンド相場は一定方向に向かって上昇・下降しているため初心者でも比較的トレンドを見分けやすく、トレードがしやすい相場でもあります。

トレンド相場で気をつけなければいけないのが、上昇トレンドでも下降トレンドでも価格は細かい上下を繰り返しながら一定の方向に動いているということです。

そのため、上昇トレンドであればトレンドの中での一時的な戻り(押し目)で買うことによって利益を伸ばすことができます。

レンジ相場

レンジ相場とは、相場がある一定の高値と安値の値幅の中で上下を繰り返している状態をいいます。

FXの相場は7割がレンジ相場とも言われており、基本的にはレンジ相場である状態が多いです。ただ、レンジ相場の相場は上昇か下降かどちらに動くか分かりづらいため、初心者には難易度が高いとされています。

レンジ相場では一定の高値と安値の値幅の中を上下するので、高値に近づいたら売り、安値に近づいたら買うという手法が用いられます。

レンジ相場は相場の方向性が定まらずあまり価格は動きませんが、レンジ相場を抜けた時(ブレイクアウト)には価格が一定方向に動きやすいので取り引きする際には注意が必要です。

初心者におすすめの取引方法

初心者がFXを始める際には、なるべくシンプルで分かりやすい取引方法で始めた方がFXへのハードルは下がります。

シンプルで分かりやすい取引方法とは、トレンドに沿った押し目買い戻り売りです。

これまで説明した注文方法や相場状況を加味して、初心者におすすめの取引方法を具体的に説明します。

順張り(トレンドフォロー)


FX初心者には、トレンドに沿った順張り(トレンドフォロー)がおすすめです。

順張りとは、上昇トレンドであれば新規のポジションで買い、下降トレンドであれば新規のポジションで売ることをいいます。

順張りは相場が一定方向に動いているため相場の状況が分かりやすいことや、利益を伸ばしやすい点から初心者でも取り組みやすい取引方法です。

押し目買い戻り売り

順張りの中でも大事なのが、トレンド相場の中でも一時的な押し目・戻りで注文する押し目買い戻り売りをするということです。

FXではトレンドが発生していても、上昇トレンドであれば一時的に価格が下がり、また上昇します。その一時的な下降を押し目といい、押し目で買うことにより利益幅を伸ばし損失を限定できるのがメリットです。

反対に下降トレンドであれば、一時的な上昇で売ることを戻り売りといいます。

初心者には難しい取引方法

初心者には順張りでの押し目買い戻り売りがおすすめだと説明しましたが、FXには様々な取引方法があります。中には難易度が高く、初心者が使うと利益を出せないだけでなく損失を膨らましやすい取引方法もあるのが特徴です。

取り扱いが難しい「ナンピン」と「両建て」についても説明しておきます。

ナンピン


ナンピンとは、保有しているポジションに対して相場が逆行した際に、ポジションを追加して平均コストを下げる取引手法をいいます。

例えば、100円で買いポジションを保有していた場合に、相場が逆行して98円になったとしましょう。この時に、新たに98円で買いポジションを追加することにより2つのポジションを平均すると99円でポジションを保有していることになり、平均コストを下げることができます。

しかし、この方法は相場が99円まで戻れば損失をなくすことができますが、反対に97円や96円と相場が更に逆行した際には損失が膨らんでいくという危険性があります。そのため、初心者には取り扱いが難しく、あまりおすすめできない取引手法です。

両建て


両建てとは、買いポジションと売りポジションを同時に保有することをいいます。

両方のポジションを同時に保有することにより、一時的に損失の拡大を防いだり含み損をカバーできたりするというメリットがあります。

FX会社によっては両建てが禁止されている場合もあり、スワップポイントやスプレッドの負担もあるため基本的にはあまりおすすめできない取引手法です。

取引する際の注意するポイント

トレードをしていく上で、取引手法も大事ですが、相場が反転しやすいポイントなど注意が必要な状況を理解することも重要です。

特に順張りでの押し目買い戻り売りでトレードする際には、「ラウンドナンバー」「サポートライン」「レジスタンスライン」についても知る必要があります。

ラウンドナンバー

ラウンドナンバーとは、為替レートのキリのいい数字のことで、米ドル円などであれば「101.00」や「102.500」などの数字を指します。

なぜラウンドナンバーが重要なのかと言うと、指値注文などで注文する際にトレーダーの多くはラウンドナンバーで注文することが多く、為替レートがラウンドナンバーに到達すると価格に大きな変化が起きやすいからです。

基本的にはラウンドナンバーに到達する前には価格変動が少し緩やかになり、ラウンドナンバーに到達するとある一定の方向に相場が動きやすいという特徴があります。

サポートライン

サポートライン
サポートラインとは、安値の目安として引かれるラインです。

サポートライン付近では相場が上昇しやすく、サポートラインを割ると反対に一気に下降しやすいのが特徴です。

サポートラインはトレンド相場でもレンジ相場でも引くことができ、直近の安値をつなげたラインがサポートラインになります。

上昇トレンドであれば右肩上がりのラインで形成され、下降トレンドであれば右肩下がりのラインで形成されます。

レジスタンスライン

レジスタンスライン
レジスタンスラインとは、高値の目安として引かれるラインで、レジスタンスライン付近では相場が下降しやすくレジスタンスラインを超えると一気に上昇しやすいという特徴があります。

レジスタンスラインは直近の高値を結んだラインで形成され、上昇トレンドの時には右肩上がり、下降トレンドの時には右肩下がりのラインを形成します。

取引の基本的な流れ

取引の基本的な流れ
では、実際に取り引きを始める時には、どのように相場状況を把握してトレードをすればいいのでしょう。

FXではトレードスタイルによって取り引きする時間足や確認する内容は異なりますが、どのトレードスタイルでも大まかな流れは一緒ですので、参考にしてください。

大きな時間足でトレンドを知る

まず、FXで取り引きを始める前に重要なのが、大きな時間足で相場が上昇トレンド・下降トレンドなのか、レンジ相場なのかを見極める必要があります。

スキャルピングやデイトレードなど短い時間で取り引きをするからといって、1分足や5分足など短い時間足だけのチャートだけを見ていると、相場全体の大きな流れを把握することができません。

短い時間足で取り引きする場合でも、1時間足や4時間足などで相場全体の大きな流れを把握することが、まずは大事です。

ファンダメンタルズ分析を行う

次に、ファンダメンタルズ分析で、今後相場が中長期的にどのような動きになりやすいかということを予想する必要があります。

スキャルピングやデイトレードなどの短期売買ではあまり気にしないトレーダーもいますが、そういったトレーダーでも相場が大きな変化を起こしやすい経済指標の発表や、要人発言などの時間やタイミングなどは常に気をつけてトレードしています。

ファンダメンタルズ分析で相場の流れを予測するのと、重要な発表などの時間などは常に把握しておくべきでしょう。

対象の時間足を調べる

相場全体の大きな流れを把握することができたら、実際に自分が取り引きする時間足のチャート画面で相場状況を確認する必要があります。

大きな時間足で上昇トレンドで、短い時間足でも上昇トレンドであれば、強い上昇トレンドであることが分かります。

反対に、大きな時間足では上昇トレンドでも、短い時間足では下降トレンドであれば、一時的な下降トレンドである可能性も出てくるため取り引きに影響を与えるでしょう。

まとめ

①FXでは注文価格を指定できるためチャートを見続ける必要はない
②FXにはトレンド相場とレンジ相場がある
③初心者は順張りでのトレードがおすすめ
④ナンピンはリスクが高いので初心者には不向き
⑤トレードする時間足だけでなく他の時間足の確認も必要