FXは二国間の為替通貨を売買することによって利益を得る金融商品です。
FX取引を行う人はここ数年で急速に増えてきており、誰でも簡単に始められる環境が整ってきました。しかし、FXで継続して利益を手に入れられる人は、全体の10%にも満たないと言われています。
厳しいFXの世界で勝ち続けていくには、FXの仕組みをよく理解し、正しい取り引きを実践していく必要があります。その中でも、FXの取引時間について知識を深めることは重要です。
今回はFXの取引時間ごとの特徴やメリット・デメリットなどの観点で説明していきましょう。
FXと取引時間
FXは今や世界でも有名な金融商品の一つであり、日本でも多くの投資家が取り引きを行っています。FXには自分の資産を大きく増やすことができるという可能性があり、こういったFXの魅力にひかれて近年FXを始める投資家が増えてきています。
しかし、FXでずっと勝ち続けていくためにはFXの仕組みをよく理解することが大切です。その中でも、FXと取引時間の関係について正しく知ることは重要です。
FX取引は取引時間の長さによっていくつかの種類に分類することができ、メリットやデメリットもそれぞれ違います。
取引時間ごとの違いをよく理解し、自分に合った取引時間でトレードしていくことがFXで成功を収めるための必須条件となるでしょう。
取引時間の概念
FXで利益を伸ばしていくには、取引時間を意識したトレードを行っていくことが重要です。
FXには取引時間に応じたいくつかのトレード手法がありますので、まずはそれらを理解することから始めましょう。
トレード手法を大きく分けると以下の3つがあります。
- 数秒から数日で取り引きを終える「短期取引」
- 数日から数週間で取り引きを終える「中期取引」
- 数年単位で保有する「長期取引」
それぞれにメリットやデメリットがあるため、トレードごとの特徴をよく理解した上で自分に合ったトレードスタイルを確立していくことが大切です。
取引時間について詳しく知ることは、FXで勝ち続けていくための絶対条件と言えます。
短期取引のメリットは、普段忙しい人でも仕事終わりの帰宅後に取り引きができることです。
サラリーマンの人であれば毎日朝から夕方まで勤務し、夜に帰宅するといったケースが多いでしょう。
FXは日本時間で夜が一番取引量が多く、相場も活発に動きます。
短期取引はサラリーマンなど多くの労働者にとって取り組みやすいのが大きな魅力です。また、短期取引は基本的にその日のうちに取り引きを終わらせるので、次の日以降に持ち越すことはありません。
その日のうちに利益や損失が確定することは、長く取り引きを行っていく上でストレスが少ないです。この点においても、短期取引のメリットだとされています。
中長期取引のメリットは、ある程度の期間を保有し続けるので、毎日取引画面を見る必要がないことです。
短期取引は絶えず画面を集中してみている必要がありますが、中長期取引は仕掛けがうまく軌道にのれば、その後は毎日数回画面をチェックするだけでよいので、時間と気持ちに余裕がもてます。
大きなトレンドの波にのれれば、その分利益も十分に得られるでしょう。
ゆったりとした心構えで臨みたい人には、中長期取引がおすすめです。
スキャルピングとは?
スキャルピングとは、超短期の取り引きのことです。短期取引の中で最も取引時間が短く、わずか数秒~数分で取り引きを終わらせられます。
どんなに延びても1時間以内で決済することがほとんどなので長く保有することがなく、ストレスも少ない取り引きです。
主に為替相場の動きが活発になる夕方~夜の時間帯で取り引きすることが多く、仕事終わりの帰宅後でも取り引きする時間が十分に取れます。よって、サラリーマンをはじめ多くの人が取り組みやすいという点が魅力です。
レバレッジは高くして、それほど大きな利益幅は見込めないので、その分取引通貨の枚数を多くします。仕掛けた後に順調に利益が伸びて、その後も伸びが期待できそうな場合は、スイングトレードにもっていくことも可能です。
スキャルピングは超短期の取り引きであり、数秒から数分の間で勝負が決まります。為替の動きに対して、素早く判断することが大切です。
利益が出ればどこで利確をするか、逆に損失が出ればどこで損切りをするかを瞬時に判断し、対応することができるかどうかがスキャルピングの成績に直結します。
反射神経の良さも大事で、想定外の為替の動きにも冷静に対応する気持ちの余裕も必要です。人間誰しも損はしたくないという思いから、損切りが遅れると結果的に勝ち続けることはできません。時には早めに損切りするといった覚悟も必要です。
スキャルピングは一日のうちに何度も仕掛けるチャンスがあるので、小さい損失であればそれほど気にする必要はないでしょう。
スキャルピングは超短期の取り引きです。基本的に一回の取り引きあたりの枚数を多くするので、その分利益も損失も大きくなります。
少し損失が膨らんでも、また戻るだろうと思って長く保有することは非常に危険です。損失が一定ラインまで達したら、すぐに損切りすることがスキャルピングで生き残っていくための必須条件です。
デイトレードとは?
デイトレードとは、短期の取り引きです。取引時間でいうとおよそ数分~数時間で決済することが多く、スキャルピングよりは少し長めの取引時間となっています。
デイトレードはスキャルピングと比べて取引時間が長い分、気持ちに余裕をもってトレードができ、初心者の人にもおすすめの取り引きです。利益と損失の幅もある程度広くできるので、その分戦略性も高くなっています。
また資産が少ない人でも、ある程度レバレッジを高くすることで取り引きができることもデイトレードのメリットです。また、ある程度利益がのってきて、まだ利益が伸びそうな時にはは、スイングトレードに移行させることもできます。
このようにデイトレードにはスキャルピングとはまた違った魅力があります。
デイトレードは短期取引であり、長くてもその日のうちに決済することを基本とします。次の日まで持ち越すと、その分損失が膨らむリスクも大きくなるので、危険です。
また、利益がのってきて「まだ上がりそう」と思っても結局下がってしまうこともあるでしょう。よって、利益確定のラインもしっかり決めておくことが必要です。
しかし例外として、日足や週足が比較的長いスパンの足で大きなトレンドが発生している場合、次の日以降に持ち越してスイングトレードに移行させることもできます。
しかし、FXを始めたばかりの人には、その日のうちに決済することを基本ルールとして徹底していくことをおすすめします。
前項で述べた通り、デイトレードは値動き次第でスイングトレードなど中期の取り引きに移行することもできます。うまくいけば利益を伸ばすことができる反面、一定の戦略性が求められます。
また、スイングトレードに移行したが途中で損失の方向に動いてしまい、結果的に損切りできず大損を食らうといったケースもあるかもしれません。うまく利益が膨らめばデイトレード以上の大きな利益が期待できるので、メリットも大きいです。
難易度が高い取引手法でもあるので、スイングトレードなど中期の取り引きに移行させることは、ある程度経験を積んでから実践してみることをおすすめします。
スイングトレードとは?
スイングトレードとは、数日~数週間の間で取り引きを終わらせるやや中期よりのトレードです。用いるローソク足の種類は「4時間足」「日足」「週足」と長めの足がメインになります。
一度仕掛けた後はずっとチャートを見ている必要はなく、朝と夕方、夜の1日3回程度のチェックで大丈夫です。
デイトレードよりさらに取引期間が長くなるので、より高い戦略性が求められる取り引きです。
スイングトレードのメリットは長時間ずっと画面を見ている必要がない点であり、ストレスも少なくて済むでしょう。仕事が忙しくて毎日時間が取れない人におすすめの取引手法です。
またスイングトレードも、週足や月足でより大きなトレンドが発生した場合、中長期のトレードに移行させることができ、うまくいけばより利益を伸ばすことができます。
スイングトレードはデイトレードよりもさらに取引時間が長くなります。取引時間が長くなるということは、利益と損失の幅も大きくなるので、より徹底した戦略性が求められます。
具体的にいうと、まずはあらかじめ利確と損切りのラインをしっかりと決め、それを確実に守ることです。
次に投資に回せる自分の総資産を把握した上で、無理のない範囲で売買する枚数を決めます。あまりにも多くの枚数を売買してしまうと、うまくいけば利益が大きくなる反面で、その分損失の額も大きくなり、ロスカットの危険性も高くなります。一度に多くの資産を失わないためにも、適正な枚数で売買することを心がけましょう。
スイングトレードも、ずっとチャートを見なくてよい点が大きなメリットです。
デイトレードと同様、スイングトレードもさらに長い中期のトレードに移行することが可能です。
仕掛けた後、順調に利益が伸びてきたら、週足や月足などの長めの足で大きなトレンドの発生を確認した時点で、中期トレードに移行します。
その後は中期スパンでもう一度利確と損切りのラインを再設定し、より利益を伸ばせるような戦略で臨みます。さらに利益が伸びていけば、損切りのラインを段階的に上げることで損失を確実に防げます。
後は、どこで利確するかですが、チャートからトレンドがそろそろ変わりそうになってきた時点で利確するのが一般的です。ここで欲張ると、せっかくの利益が少なくなってしまうので、割り切って利確できるかどうかも重要です。
中期トレードとは?
中期トレードとは、1か月から半年など、中期にわたる取り引きのことです。取り引きをするというよりは保有するという方が、イメージしやすいかもしれません。
日々の為替の動きよりも、中期的にどう動くかを予想することが大切です。中期トレードでは、テクニカル分析に加えてファンダメンタルズ分析も重要です。
具体的には、アメリカをはじめとした主要国の各指標の結果をしっかりと分析し、中長期的に為替がどう動くかを予想します。そして自分なりの戦略が決まったら、仕掛けます。
中期トレードは短期取引よりも売買する枚数を減らし、その分利益と損失の幅に余裕をもたせます。スワップもある程度期待できるので、すぐに決済するのではなく利益が伸びていくのを気長に待ち続ける心構えが大切です。
中期トレードはある程度の期間保有し続けるので、ロスカットにならないようレバレッジはできるだけ低く設定しましょう。
短期取引と同じイメージでレバレッジを高くして売買すると、すぐにロスカットのラインに達してしまう危険性があります。
中期トレードが資産に余裕がある人に向いていると言われている理由は、レバレッジを低くすると、その分自分の資産も多く必要になるためです。レバレッジを低くすることで損失が多少膨らんでもすぐにはロスカットにならずに済み、その後持ち直して利益に転じるチャンスも生まれてきます。
このように中期でのトレードをする際は、長く保有することを前提としてレバレッジは低く抑えることが基本となります。
中期トレードは、どこで決済するかが難しい取り引きです。利益が出ている時にははまだ伸びるかどうか、逆に損失が出ている時にははどこで損切りするか、短期取引と比べてより戦略的な判断が必要となります。
損失が膨らんだ時には損切りラインの設定も難しく、レバレッジを低くしている分ある程度までは損失に耐えられる安心感から、そのまま塩漬けにしてしまい、結局ロスカットを食らうパターンは最悪です。
また、利益が順調に伸びてきた時には、まだ伸びると思って決済せずに保有し続け、その後反転して結果的に薄利になってしまうといったケースも多いです。
週足や月足などチャートを綿密に分析し、ファンダメンタルズも駆使して利確と損切りのラインを決めましょう。
また、前項で述べた通り中期トレードはスワップ狙いもできるので、買いで注文してトレンドが悪くなければそのまま数年単位で保有し続けるといった戦略も可能です。
長期保有とは?
長期保有とは、一度通貨を保有するとそれを数年にわたって保有し続けるといった手法です。主にスワップが目的の取引手法であり、レバレッジは最小限に抑えて保有します。
日々の値動きなど短期的な為替の動向は気にする必要がなく、スマホなどの端末でレートを時々チェックする程度で問題ありません。為替相場は上がったり下がったりを繰り返し、1年後は結局それほど変わっていないというケースも多いです。
資産に余裕のある人であれば、銀行の利子のような感覚で長期保有に取り組んでみるのも良いでしょう。うまくスワップが貯まれば、定年退職後の貴重な資産として、生活にゆとりを与えてくれるといった感覚で臨むと良いかもしれません。
長期保有の場合は、レバレッジは最小限に設定します。レバレッジを最小限に設定することで多少損失が膨らんでも、十分ロスカットに耐えられます。
為替相場の動きは一方的に動くといったことは少なく、長いスパンで上下を繰り返すのが一般的です。そのため、一時的に損失が膨らんでも、数年後に持ち直したり逆に上がったりといったことも十分考えられます。
レバレッジを最小限にすることで数年単位での為替の動きに十分耐えられ、その間にスワップを得ることができます。
注意点としては、レバレッジを最小限にするので、その分十分な資産がないと多くの枚数を買うことができないことです。投資に回せる資産が多い人でないと、長期保有は難しいということになります。
長期保有は基本的にスワップ狙いです。前項でも述べた通り、スワップを少しでも多くするため、レバレッジを抑えつつある程度の枚数を売買する必要があります。
投資に回せる十分な資産をもっていれば、長期保有にチャレンジしても良いでしょう。ただし、少なくとも数年間ずっと保有し続けるので、その間は資産を引き出すことができません。生活に必要な最低限の資金はしっかりと手元に残しておく必要があります。
また、スワップ金利は世界の情勢によって変わる可能性があり、最悪の場合マイナス金利に転じるケースもあります。マイナス金利になってしまうと、逆に資産が減っていくことになるので、為替の動向を見ながら利益がのった時にはに決済してしまうのがベストです。